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板金王の板金教室! ~プログラム編~
精密板金業界のレジェンドであるバンキング(猫)が、サイコロを作りながら板金加工の流れを伝授していくようです。
まず最初にプログラムの作成方法を教えるようですね。
みなさんも一緒に見ていきましょう!

しぃちゃん!
今日はモノづくりの最初の一歩、
「プログラム」じゃ!

はい師匠!
私はいつでも!
だいじょうV(だいじょうぶい)ですよ!

だいじょうV
(だいじょうぶい)・・・???

問題ナッシングってことですよ

この娘、中身、おっさんやん・・・
スマホのアプリや、パソコンのOSやソフトもプログラマーがプログラムを書いています。
しかし、なぜ精密板金加工にプログラムが必要なのでしょうか?
プログラムが無くても精密板金加工は出来そうだと思う方もいるかと思います。
実際、プログラムが無くても、ある程度手作業で加工する事は可能です。
しかし作業者の習熟度によって製品の出来栄えが大きく左右されますし、
加工するのに莫大な時間が掛かってしまいます。
大量生産が必要な工業製品に、手作業で板金加工をする事はあまり向いていません。
その為、精密板金加工にはNC工作機という加工機を使用します。
(NCはNumerical Controlの略で、数値制御という意味があります)
NC工作機の詳細については、次工程の「ブランク編」にて説明します。
そのNC工作機には「自動で正確な加工を行える」という特徴があり、その為には必ずプログラムが必要となります。
NC工作機を使用する事で、手作業では「不可能な速度」「正確性」で「安全に」製品を作り出すことが出来ます。

NC工作機は現代社会を支えているといっても過言ではないぞ!
それを動かすのにプログラムが必要なのじゃ!
NC工作機の一例
アマダ製 タレットパンチプレス
金型のみを使用して
板材を切断する工作機です。アマダ製 パンチ&レーザー複合マシン
金型とレーザーを併用して
板材を切断する工作機です。
名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれませんが、
CAD(キャド)、CAM(キャム)というパソコン上で動くソフトを使ってプログラム作成を行います。
CADとCAMには以下のような役割があります。
CAD・・・図面を描く。展開図を作る。
CAM・・・展開図をもとに機械に命令を出すプログラムを作る。
しぃちゃんが早速CADに挑戦するようです。

よ~し!
早速、「キャドる*」ぞ!!
*しぃちゃんが生み出した「CADを行う事」の造語です

しぃちゃん!
1辺50mmのサイコロの展開図
を描いてもらうぞ!
CADの使い方は隣で教えるからな!

パソコンは得意だし、
展開図なら小学校で習いましたっ!
CADの使い方さえ教えてくれれば
モーマンタイ(問題無し)です!

自信満々じゃな。
では、さっそくやってみるんじゃ!!

いくぞ~~~!
どおりゃ~~~っ!
しぃちゃんがCADで描いたサイコロの展開図!


楽勝♪
CADの使い方が分かれば
こんなの余裕のよっちゃんです!

うむ!小学生なら100点じゃが
板金職人としては0点じゃな!
それでは、正解を教えるぞ!

え!どこがダメなんですかっ!
その答えは、板金加工の特有の①曲げ伸び補正値と②曲げの加工方法にあります。

肘を曲げると内側の皮膚が縮み、外側が伸びるイメージです。
そのため展開図を作成するときはあらかじめ
この伸びしろを考慮する必要があるのです。
曲げ伸び補正値(伸び値)は、材質、板厚、曲げ型の種類など、加工条件によって変わります。
補正値は各会社によって実際に加工したデータを
持っていることが多いです。

曲げ加工が出来ない部分が出てくることも大きな問題です。閉じた箱状の物だと、ベンダーで曲げることが出来ません。
(ベンダーについては「曲げ加工編」にて説明します)
板金加工は、1枚の板材から加工していくので、
設計や加工方法に様々な制約があります。
今回のような形状の場合、基本的にパーツを分けて作ります。

しぃちゃんが描いた展開図だと、
寸法はプラス方向になるし、
そもそも、曲げられない部分があるから、
サイコロの形にはならんのじゃ!

なるほどっ!
って材質も板厚も曲げ工程の事とかも、
何も教えてくれなかったじゃないですかっ!

まあ、最初だからとりあえず勉強の為にやってもらっただけじゃ!

しかし板金加工って奥が深いですね・・・
ついてけるかな・・・

大丈夫じゃ!
じゃ、つぎはおしえながらやっていくぞ!
ではもう一度トライしてみようか!

ラジャー!
30分後

ん~~~
伸びを考慮して・・・・・・・
コの字ではめ込む形にして・・・・・・
こんな感じかなぁ???
しぃちゃんが作った展開図
しぃちゃんが作った3Dデータ

おお!チョベリグじゃ!
しっかりと曲げの伸びも考慮されとるし、
コの字型の別パーツになっとるな!
最初にしては上出来だと思うぞ!!

師匠・・・チョベリグなんて古いですよ

さっきから君の方が古くね?


師匠!
そろそろ「キャムり*ましょう」!
*しぃちゃんが生み出した「CAMを行う事」の造語です

そうじゃな!
展開図が完成したから、
今度はCAMでプログラムを作るぞ!

OK牧場!

CAMの画面上で、加工箇所毎に加工方法を選択していきます。
しぃちゃんが描いた展開図とは異なりますが、
より簡単な左の図で例を見ていきましょう。
まずはじめに4箇所あるφ3(直径3mm)の穴は、
全て金型を使用することにします。
中央のφ5(直径5mm)の穴はレーザー加工を選択。
外側の15mmの正方形もレーザー加工を選択。

上の図は形状と座標を表した図です。

あれれ??
右上と左下の角の部分繋がってないですよ?

それは「ジョイント」と言ってな、
あえて完全に切り離さないようにしているんじゃ。
大きい板材を動かしながらレーザーで切断していくから、完全に切り離すと製品が加工中に脱落してしまうんじゃ。

なるほど!ザ・ワール〇!
加工中に取れたら、キズとか変形で使えなくなっちゃいますもんねっ!
プログラムを作るボタンをクリックすると、下記のようなプログラムが完成しました!


おふぅ・・・・・・!
パイセン、ぜんっぜん分かんねっす!

ニャハハ!
確かにアルファベットと数字が並んでいるだけで、頭痛くなりそうじゃが、要約するとシンプルなんじゃ!


おっ!
これならなんとなく分かるかも!

じゃろ?プログラムは大体、
「Gコード」「Mコード」「座標」「T番号」で構成されるんじゃ。次の抜き加工(ブランク)で使うNC工作機を動かすのに必要なんじゃ。
今回詳しい話は省くが、今は「そういうコードがある」程度で構わんぞ!

一気に覚えるなんてムリゲーです!
Gコードって言われても、ギターぐらいしか思いつかないです・・・

習うより慣れろじゃ!
じゃあ、早速プログラミングじゃ!

がってん承知の助!

(ちょいちょい死語ぶっこんで来る娘じゃな・・・)
しぃちゃんがCAMでプログラムを作ってみたよ!

しぃが作ったサイコロのNCプログラム!


出来たっ!

ワシが教えたんじゃから、
あたり前田のクラッカーじゃ!
イカしたナウいプログラムが出来たな!
バッチグーじゃ!
プログラムはこれで完成じゃ!
次回は実際にNC工作機で加工してみるぞ!

師匠・・・
そんな死語、誰も使いませんよっ!
聞いてるこっちが恥ずかしいですっ!

・・・・・