「PEGASUS I」
は、関数「z=axy」が描く直線でもって谷と頂が共存する不思議な「鞍点」をもつ曲面を表現した作品でした。また、
「PEGASUS II」
は、関数「z= a(x ²-y ² )」から生まれた放物線を格子状に組み上げることで、やはり鞍点をもつ曲面を形作る作品でした。
馬の鞍シリーズの3つ目の作品「PEGASUS III」は、PEGASUS Iの関数「z=axy」でもって、馬の鞍IIを特徴づける放物線の連なりを表現したユニークな作品です。
【解説】
図1は、横軸にx座標、縦軸にy座標をとり、対応するマス目に関数「z=xy」(これは、作品
「PEGASUS I」
の関数でしたね)によって導かれるz座標の値を示したものです。
また、図2は同じ方法で関数「z= x ²-y ² 」によって計算されるZの値を記したものです。これは作品 「PEGASUS II」 を形作る関数でした。
さて、この二つの図表を見比べると……。そうです、x=0、y=0のマス目を中心に図1を45度だけ反時計回りに回転させると、黄色に着色されたマス目が、図2のそれとピタリと一致しますね。
二つの関数がもつこの数学的特性を活かすことによって、PEGASUS IIIは誕生しました。「神秘的な幾何学美の秘密は、ふたつの数式を結び付ける回転の妙にあり」──といったところでしょうか。
造形の美しさと共に味わう「理の美しさ」──これが数楽アートの醍醐味のひとつなのです。